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FSSC 22000 Version 7.0対応でまず何をする?移行審査に向けた実務対応のポイント

FSSC 22000 Version 7.0対応で確認すべきPRP、食品安全文化、仕様管理、食品ロスなどの実務ポイント

FSSC 22000 Version 7.0が2026年5月に発行されました。すでにFSSC 22000を取得している企業は、Version 6.0からVersion 7.0への移行対応が必要になります。また、これからFSSC 22000の新規取得を検討している企業も、今後はVersion 7.0を前提に食品安全マネジメントシステムを構築していく必要があります。

Version 7.0では、新しいISO 22002-x:2025シリーズの組込み、GFSIベンチマーキング要求事項2024との整合、食品安全及び品質文化、食品ロス及び廃棄物、包装設計、試験所分析、仕様管理、アートワークマネジメント及び印刷管理などが見直されています。

ただし、重要なのは「何が変わったか」を知ることだけではありません。自社の文書、帳票、現場運用、教育、内部監査、マネジメントレビューに、何を反映すべきかを明確にすることが必要です。この記事では、FSSC 22000 Version 7.0対応で確認すべき実務ポイントを整理します。

まずは審査時期と適用バージョンを確認する

最初に確認すべきことは、自社の次回審査がVersion 6.0で行われるのか、Version 7.0で行われるのかです。FSSC 22000 Version 6.0による審査は2027年4月30日まで、Version 7.0へのアップグレード審査は2027年5月1日から2028年4月30日までとされています。認証取得済みの企業では、次回審査が通常の維持審査なのか、再認証審査なのか、移行審査に該当するのかによって準備の進め方が変わります。まずは認証機関に審査時期と適用バージョンを確認し、準備スケジュールを逆算することが必要です。

新規取得を検討している企業では、2027年5月以降に審査を受ける予定であれば、最初からVersion 7.0を前提に文書・記録・現場運用を整備する方が効率的です。

まずはギャップ分析から始めましょう

FSSC 22000 Version 7.0対応で最初に行いたいのは、大がかりな文書改訂ではなく、現在の仕組みで何が対応できていて、何が不足しているのかを整理することです。そのためには、まずは要求事項を確認し、ギャップ分析を実施すると良いでしょう。

気を付けたいのは、マネジメントシステムというのは、個別の要求事項の集まりではなく、それぞれが相互に関係しあって成り立っているという点です。規格の変更点を読んでその部分だけ改訂しただけでは不十分な場合もあります。たとえば、PRPマニュアルは更新したけれど、清掃手順や点検記録、PRP検証の項目、教育資料、内部監査チェックリスト、マネジメントレビューの議題など、関係する文書が旧版のまま残っているケースがあります。審査では、マニュアルや文書の有り無しだけでなく、実際に有効的に機能しているか、ということも確認します。現場で使用している記録様式や、担当者がその内容を理解しているかのインタビューも含めて審査が行われますので、注意しましょう。

PRPはISO 22002-100と業種別パートで見直す

Version 7.0で特に重要なのが、前提条件プログラム、いわゆるPRPの見直しです。従来のISO/TS 22002シリーズから、新しいISO 22002-x:2025シリーズへ移行します。食品製造業の場合は、ISO 22002-100:2025とISO 22002-1:2025の両方を確認する必要があります。ISO 22002-100は、食品・飼料・包装サプライチェーンに共通するPRP要求事項です。一方、ISO 22002-1は食品製造に特化した追加要求事項です。業種別パートには、ISO 22002-100に対する追加要求事項が記載される構成になっています。そのため、食品製造業では、ISO 22002-100で共通要求を確認し、その上でISO 22002-1の追加要求を確認する必要があります。

この変更は、大きな改訂というよりは、既存の要求事項の整理が中心ですが、一部手洗いが必要なタイミングの追加などもあるため、注意が必要です。また、チェックリストなどを規格の項番や構成に合わせて作成していた場合は、新しい構成に合わせて見直す必要があります。

また、Version7.0では廃棄物に関する項目が「廃棄物、食品ロス及び廃棄物の管理、再利用」として整理されています。従来のように廃棄物置場の管理や廃棄物回収だけを見るのではなく、食品ロス、再利用、手直し品、廃棄物の区分、測定可能な目標とのつながりを確認する必要があります。また、食品防御及び食品偽装については、ISO 22002-100:2025への取込みにより、FSSC追加要求事項側では一部要求が削減されています。そのため、食品防御・食品偽装については、追加要求事項だけを見るのではなく、ISO 22002-100側に含まれる内容と、FSSC追加要求事項の両方を踏まえて整理する必要があります。

食品安全及び品質文化は「証拠」で示す

FSSC 22000 Version 7.0では、食品安全及び品質文化について、十分な資源の提供と、食品の製造及び安全な取扱いに対するすべての要員の実証可能なコミットメントが求められる方向にあります。

ここで重要なのは、方針に「食品安全文化を大切にする」と書くだけでは不十分だということです。食品安全及び品質文化は、現場の行動やマネジメントの関与として示す必要があります。

たとえば、次のような活動や記録が証拠になります。

  • ▪経営者が必要な人員、時間、設備、教育予算を確保している
  • ▪食品安全に関する教育を実施し、理解度や行動の定着を確認している
  • ▪ヒヤリハット報告、異常報告、改善提案が現場から上がっている
  • ▪報告された問題に対し、原因確認と改善が行われている
  • ▪管理者が現場巡回を行い、手洗い、服装、清掃、アレルゲン管理などを確認している
  • ▪食品安全文化に関する課題がマネジメントレビューで扱われている

ヒヤリハット報告が少ない場合、それは問題が少ないのではなく、報告しにくい職場である可能性もあります。重要なのは、数値そのものではなく、現場の声をどのように受け止め、改善につなげているかです。

食品安全目的の仕様は、科学的根拠を確認する

2.5.1(d)では、仕様管理についても確認が必要です。食品安全目的で使用される微生物学的、物理的、化学的、アレルゲンに関する仕様について、関連法令が存在しない場合、適切な科学的原則に基づくことが示されています。

そのため、原材料規格書や製品規格書があるかだけでなく、そこに設定している基準値や管理値の根拠を説明できるかを確認する必要があります。

たとえば、次のような確認が必要です。

  • ▪微生物基準、pH、水分活性、異物基準、アレルゲン管理基準などの根拠を説明できるか
  • ▪法令基準があるものと、自社基準・顧客基準として設定しているものを分けているか
  • ▪法令基準がない場合、文献、業界基準、過去データ、妥当性確認、顧客要求などの根拠を整理しているか
  • ▪その仕様がHACCP、OPRP、検査計画、出荷判定、受入基準にどう使われているか

顧客指定の規格値をそのまま転記しているだけで、自社の工程管理や検査計画とつながっていない場合は注意が必要です。

食品安全上重要な分析は、試験所の力量を確認する

2.5.1(a)では、食品安全にとって重要なパラメータの検証及び/又は妥当性確認に試験所分析を使用する場合、その分析が力量のある試験所によって実施されることを確実にする必要があります。これは、すべての検査・分析について一律にISO/IEC 17025認定試験所を使わなければならないという意味ではありません。まず行うべきことは、自社で実施している検査・分析のうち、どれが食品安全上重要なパラメータの検証・妥当性確認に使われているかを整理することです。たとえば、CCPやOPRPの検証、殺菌条件や保存性の妥当性確認、環境モニタリング、アレルゲン管理、清掃効果確認などに使っている分析は、対象になる可能性があります。

外部試験所を利用している場合は、試験項目、試験方法、認定範囲、報告書の内容を確認します。ISO/IEC 17025認定を受けている場合でも、自社が依頼している試験項目が認定範囲に含まれているかを確認する必要があります。内部試験を行っている場合は、手順書、教育、機器管理、試薬・培地管理、精度管理、記録の妥当性を確認します。重要なのは、試験結果を何に使っているかを整理し、その用途に応じた力量確認を行うことです。

アートワークマネジメントと印刷管理は食品メーカーも対象になり得る

FSSC 22000 Version 7.0では、アートワークマネジメント及び印刷管理要求事項の適用範囲にも注意が必要です。V7では、カテゴリIの組織だけでなく、ラベル及び/又は材料を印刷するすべての組織に適用されることが示されています。

食品メーカーであっても、包装デザイン、食品表示、ラベル、シール、外箱、内袋、日付印字、ロット印字などに関わる場合は無関係ではありません。食品表示の誤りは、アレルゲン表示漏れ、期限表示ミス、保存方法の誤表示、原材料名や添加物表示の誤りなど、重大な食品安全・法令違反につながる可能性があります。

実務では、次のような点を確認します。

  • ▪表示内容や版下の承認手順があるか
  • ▪食品表示、アレルゲン、栄養成分、保存方法、期限表示などを誰が確認しているか
  • ▪包材やラベルの改版時に、旧版が誤って使用されない仕組みがあるか
  • ▪印刷会社、包材メーカー、デザイン会社との確認記録が残っているか
  • ▪現場で印字する日付、ロット、品名、アレルゲン表示などの照合手順があるか

Version7.0対応では、アートワークや印刷管理を「包材メーカーの話」として捉えるのではなく、自社が表示内容を作成・承認・印字・使用している範囲を確認することが重要です。

食品防御・食品偽装は「担当者の知識・力量」を確認する

食品防御と食品偽装については、評価や計画書の作成そのものは以前から要求されていましたが、Version7.0で確認すべきポイントは、食品防御の脅威評価及び食品防御計画、食品偽装の脆弱性評価及び軽減計画が、適切な知識及び力量を持つ要員によって作成・維持されているかという点です。

そのため、単に年1回レビューして日付を更新するだけでは不十分です。評価や計画を担当する要員が、食品防御や食品偽装の考え方、自社の原材料・工程・サプライチェーン、過去の事例、調達先や価格変動などのリスク要因を理解しているかを確認する必要があります。力量を示す根拠としては、教育記録、外部研修の受講記録、職務経験、食品安全チームでの役割、評価時の検討記録などが考えられます。

食品ロス及び廃棄物は、測定可能な目標にする

FSSC 22000 Version 7.0では、食品ロス及び廃棄物について、目標が明確で測定可能なターゲットと、定められたスケジュールによって裏付けられることが明確化されています。「食品ロスを削減する」という方針だけでは不十分です。製造ロス、包装不良、期限切れ廃棄、返品、表示ミスによる廃棄など、自社で発生しているロスを分類し、測定可能な目標として管理する必要があります。

実務では、次のような対応が必要です。

  • ▪食品ロス及び廃棄物の発生源を分類する
  • ▪重量、金額、発生率など、測定可能な指標を決める
  • ▪期限を含む目標を設定する
  • ▪月次又は四半期などで進捗を確認する
  • ▪マネジメントレビューで評価する
  • ▪食品安全に影響する削減策を避ける

食品ロス削減は重要ですが、食品安全を犠牲にしてはいけません。再利用、手直し、期限延長、包装変更などを行う場合は、HACCP、アレルゲン、表示、微生物リスク、品質への影響を確認する必要があります。

包装設計は食品安全と食品ロスの両面で確認する

2.5.13では、製品設計及び開発に関する変更もあります。シェルフライフの妥当性確認及び継続的検証の適用カテゴリがBIII、C、D、Kであることが明確化されています。

また、Version7.0では、一次包装又は包装材料を設計する組織に対し、包装による製品保護、シェルフライフ延長、食品ロス及び廃棄物の最小化、消費者への取扱い・保管・調理方法の明確な伝達などを考慮する要求事項が追加されています。

食品メーカーであっても、自社で包材を選定したり、包材メーカーと仕様を決めたりしている場合は関係します。たとえば、包材を薄くすることで包装廃棄物は減るかもしれません。しかし、破袋やピンホールが増えれば、異物混入、微生物汚染、品質劣化、返品増加につながる可能性があります。食品ロス削減や包装資材削減を検討する場合でも、食品安全への影響を確認することが必要です。

その他、該当カテゴリでは追加確認が必要

Version 7.0では、すべての食品メーカーに同じ影響がある変更ばかりではありません。該当カテゴリや業態によって確認すべき項目もあります。たとえば、2.5.12のPRP検証は、カテゴリE、ケータリング/フードサービス、及びカテゴリFI、小売/卸売にも適用範囲が広がっています。

2.5.14のトレーサビリティでは、カテゴリC0、と畜工程に関係する変更があります。C0に該当する組織では、枝肉の可食部が適切に追跡できるか、識別、記録、分離、検査結果との紐づけを確認する必要があります。

2.5.6(h)のアレルゲン管理については、主にペットフードに関する適用除外の明確化です。一般の食品メーカーでは、これをアレルゲン管理の緩和と捉えるべきではなく、引き続き原材料、表示、交差接触、清掃、切替、再作業品などの管理を確認する必要があります。

多サイト認証については、カテゴリBIIIが含められるようになっています。該当する組織では、認証範囲、中央機能、各サイトの管理状況を確認する必要があります。

内部監査とマネジメントレビューに落とし込む

FSSC 22000 Version 7.0対応で最終的に必要なのは、文書を直すことではなく、内部監査とマネジメントレビューで確認できる状態にすることです。

内部監査では、次のような観点を入れるとよいでしょう。

  • ▪ISO 22002-100と該当するISO 22002-xの要求事項が確認されているか
  • ▪FSSC追加要求事項がVersion 7.0に更新されているか
  • ▪食品安全及び品質文化の証拠があるか
  • ▪食品安全目的の仕様について科学的根拠を説明できるか
  • ▪食品安全上重要な分析について試験所の力量確認ができているか
  • ▪アートワーク及び印刷管理の仕組みがあるか
  • ▪食品防御・食品偽装の担当者の力量が確認されているか
  • ▪食品ロス及び廃棄物の目標が測定可能か
  • ▪包装設計や包装変更の食品安全影響を確認しているか
  • ▪マネジメントレビューでVersion7.0移行状況が確認されているか

内部監査は、審査の予行演習ではありません。自社の仕組みが実際に機能しているかを確認するための重要な活動です。Version7.0対応で見つかった未対応事項は、是正処置や改善計画として管理し、マネジメントレビューで進捗を確認することが必要です。

FSSC 22000 Version7.0対応のまとめ

FSSC 22000 Version 7.0対応では、Version6.0への移行の際と比べると、要求事項の大幅な追加はありません。しかし、項目の整理以外にも具体的な要求が追加されている点もあるので、注意が必要です。

重要なのは、改訂箇所を自社に関係する項目として整理し、文書、帳票、現場運用、教育、内部監査、マネジメントレビューに落とし込むことです。特に、PRP、食品安全及び品質文化、食品安全目的の仕様、試験所分析、アートワーク及び印刷管理、食品防御・食品偽装、食品ロス及び廃棄物、包装設計は、移行審査前に優先して確認しておきたい項目です。

移行期限が近づいてから対応を始めると、文書の更新だけで手一杯になり、現場運用や教育が追いつかない可能性があります。早めに自社の現状を確認し、対応すべき項目を明確にして、計画的に準備を進めましょう。

株式会社SEITAでは、FSSC 22000 Version 7.0対応のギャップ診断、文書レビュー、PRPチェックリストの見直し、内部監査チェックリストの更新、新規認証取得支援、審査前確認を行っています。
FSSC 22000 Version 7.0への移行対応や新規認証取得をご検討中の企業様は、お気軽にご相談ください。

また、FSSC 22000の運用支援や、品質管理・品質保証業務の外部サポートも承っています。品質保証部門の人手不足や、認証運用の負担でお困りの企業様も、お気軽にご相談ください。

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