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JFS-BからFSSC 22000へのステップアップ|必要な追加対応と認証取得までの進め方
食品安全管理体制の強化や取引先からの要求、海外展開などをきっかけに、JFS-BからFSSC 22000認証へのステップアップを検討する食品事業者もおられるのではないでしょうか。
JFS-Bで構築・運用してきた食品安全管理の仕組みは、FSSC 22000認証取得に向けた重要な基盤となります。しかし、FSSC 22000では、国際規格ISO 22000に基づくマネジメントシステムの構築や、より詳細な前提条件プログラム(PRP)への対応などが求められます。
今回は、JFS-BとFSSC 22000の主な違いを整理し、既存の仕組みを活用しながら認証取得を進めるためのポイントを解説します。
1.JFS-BとFSSC 22000の違い
JFS-Bは、一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)が策定した食品安全規格です。食品安全マネジメント(FSM)、ハザード制御(HACCP)、適正製造規範(GMP)の3つの要素から構成されています。
一方、FSSC 22000は、GFSI(世界食品安全イニシアチブ)に承認された食品安全マネジメントシステムの認証規格です。
FSSC 22000 Version 7は、主に次の3つの規格・要求事項で構成されています。
▪ISO 22000:2018:食品安全マネジメントシステムの要求事項
▪ISO 22002シリーズ:前提条件プログラム(PRP)の要求事項
▪FSSC 22000追加要求事項:食品防御、食品偽装、品質管理、食品安全・品質文化、食品ロス削減など
両規格には、HACCPや一般衛生管理など多くの共通点があります。その一方で、マネジメントシステムの運用や、管理手段の評価、各種活動の有効性の確認などについて、追加・強化すべき事項があります。

2.マネジメントシステムの構築・強化
FSSC 22000では、ISO 22000に基づくマネジメントシステムの構築と運用が必要です。
JFS-Bにも経営層の責任や食品安全方針、文書管理などの要求事項がありますが、ISO 22000では、組織全体で食品安全を維持・改善していくための仕組みが、より体系的に求められています。
① 組織の状況とリスク及び機会への取組み
ISO 22000の第4章では、組織の内外の課題や利害関係者のニーズ・期待を把握し、食品安全マネジメントシステムの適用範囲を明確にすることが求められます。
例えば、人手不足による教育・力量管理の課題、原材料調達先の変更、取引先からの要求事項の変化などです。
こうした情報を整理したうえで、第6章のリスク及び機会への取組みにつなげていきます。
② 食品安全目標の設定と達成状況の評価
ISO 22000では、食品安全方針と整合する食品安全目標を設定し、その達成に向けて計画的に取り組むことが求められます。
例えば、食品安全に関するクレーム件数、衛生点検の遵守率、是正処置の期限内完了率などを指標として設定することが考えられます。
目標を設定するだけでなく、達成状況を定期的に確認し、必要な改善につなげることが重要です。
③ 内部監査とマネジメントレビュー
JFS-Bからのステップアップで、新たに仕組みを構築する必要が生じやすい項目です。
●内部監査(ISO 22000 9.2)
食品安全マネジメントシステムが規格要求事項や自社のルールに適合し、有効に機能しているかを組織内で評価します。
監査計画の策定、監査員の力量確保、監査結果の報告、是正処置などの仕組みを整える必要があります。
●マネジメントレビュー(ISO 22000 9.3)
内部監査結果、食品安全目標の達成状況、苦情や不適合の傾向などを経営層が評価し、改善や資源配分などを決定します。
これらの活動を通じて、食品安全管理を継続的に改善する仕組みを整備します。
④ ISO 9001・ISO 14001の仕組みも活用できる
既にISO 9001やISO 14001を取得している企業であれば、これらの規格と共通するマネジメントシステムの仕組みを活用できます。
例えば、組織の状況の分析、目標管理、文書管理、力量管理、内部監査、マネジメントレビューなどです。
既存の品質・環境マネジメントシステムと食品安全マネジメントシステムを統合して運用することも可能です。
ただし、ISO 22000固有の要求事項を反映し、食品安全の観点から必要な評価や管理が実施されるようにする必要があります。
3.HACCPと一般衛生管理の見直し
① JFS-BのGMPを活用したPRPの構築
JFS-BのGMPには、施設・設備、従業員衛生、清掃・消毒、防虫防鼠など、具体的な衛生管理の要求事項が定められています。
そのため、JFS-B適合証明を取得している企業では、PRPの基本的な仕組みが既に構築されていると考えられます。
一方、FSSC 22000 Version 7では、食品製造業の場合、以下の2つの規格への対応が必要です。
▪ISO 22002-100:2025(食品サプライチェーン共通のPRP)
▪ISO 22002-1:2025(食品製造業に固有のPRP)
既存のGMPを基盤として、ISO 22002シリーズとのGAP分析を行い、管理方法や設備面で不足する事項を確認することが重要です。
例えば、施設・設備の衛生的設計、交差汚染防止、清掃・消毒の管理方法、設備保守などについて、要求事項との適合状況を確認します。
文書や記録の見直しで対応できる場合もあれば、施設・設備の改善が必要になる場合もあるため、早期に現場の状況を確認しておくことをお勧めします。
② GMP4とOPRPの関係
JFS-Bには、GMP4「特に管理の強化が必要な危害要因」に関する要求事項があります。2026年10月に公表されたJFS-B Ver.3.1では、この項目に関する記載が充実しました。
このGMP4は、ISO 22000におけるOPRP(オペレーション前提条件プログラム)と関連する考え方を持っています。
ただし、FSSC 22000へのステップアップに際して、GMP4で管理している項目をそのままOPRPに置き換えられるとは限りません。
ISO 22000では、ハザード分析の結果に基づき、重要な食品安全ハザードを管理するための管理手段を評価し、CCPまたはOPRPに分類する必要があります。
例えば、アレルゲンの交差接触を防ぐための製品切替時の洗浄管理などは、OPRPとして管理することが適切か検討する対象になり得ます。
OPRPに分類した場合には、処置基準やモニタリング方法、逸脱時の対応、妥当性確認、検証などの仕組みを整備します。
既存のGMP4による管理状況を踏まえながら、ISO 22000の要求事項に沿ってハザード分析と管理手段の評価を行うことが必要です。
4.FSSC 22000追加要求事項への対応
FSSC 22000では、ISO 22000とPRPに加え、独自の追加要求事項への対応が必要です。
ここでは、JFS-B取得企業が特に確認しておきたい項目を紹介します。
① 食品防御・食品偽装と評価担当者の力量
JFS-Bにも食品防御に関する要求事項がありますが、FSSC 22000では、食品防御に関する脅威評価と食品防御計画を、適切な知識・力量を有する要員が作成・維持することが求められます。
また、食品偽装についても、脆弱性評価と食品偽装低減計画の作成をする必要もありますが、こちらも作成・維持に携わる要員の力量が必要です。
評価方法や判断基準を理解し、組織の実態に応じた評価ができる担当者を育成することが重要になります。
② 品質方針と品質目標
FSSC 22000では、食品の安全性に加え、品質管理に関する要求事項も設けられています。
品質方針と品質目標を設定し、製品仕様に基づく品質管理項目の監視・測定、結果の分析・評価を行うことが求められます。
例えば、製品の重量、外観、品質規格への適合状況、品質クレームなどを管理指標として活用することが考えられます。
また、品質管理の結果はマネジメントレビューで評価し、品質に関する要求事項は内部監査の対象にも含める必要があります。
③ 食品安全・品質文化の推進
FSSC 22000では、食品安全・品質文化に関する目標を設定し、具体的な活動計画を文書化することが求められます。
計画には、コミュニケーション、教育訓練、従業員からのフィードバック、活動の測定・評価などを含めます。
例えば、衛生点検の遵守率、従業員教育の理解度、改善提案件数などを指標として活用することが考えられます。
活動の実施状況や目標の達成状況は、マネジメントレビューや継続的改善にも反映させます。
④ 食品ロス・廃棄物削減への取組み
FSSC 22000では、食品ロス・廃棄物の削減に関する方針と目標を文書化し、測定可能な指標と達成期限を設定することが求められます。
例えば、製造工程で発生する食品廃棄量、不良品の発生率、原材料の歩留まりなどを指標として設定することが考えられます。
食品安全を確保しながら、食品ロスの削減に取り組む仕組みを整備する必要があります。
⑤ その他の追加要求事項
上記以外にも、アレルゲン管理、環境モニタリング、設備管理、製品設計・開発、PRPの検証など、さまざまな追加要求事項があります。
既存のJFS-Bで実施している活動も多くありますが、FSSC 22000が求める評価・検証方法や記録の整備状況などについて確認が必要です。
5.FSSC 22000認証取得までの進め方
JFS-BからFSSC 22000へのステップアップでは、次のような流れで準備を進めることをお勧めします。
STEP 1:GAP分析
↓
STEP 2:改善計画の策定
↓
STEP 3:システムの構築・運用
↓
STEP 4:内部監査・マネジメントレビュー
↓
STEP 5:認証審査
なお、JFS-B適合証明のみを取得している企業がFSSC 22000認証を目指す場合は、原則としてFSSC22000の要求事項を全て満たしておく必要があります。
また、JFS-Bの監査と違い、FSSC22000の審査は2段階で行われます。
第1段階審査(ステージ1審査)は文書審査、第2段階審査(ステージ2審査)は文書・記録の運用審査が中心に行われます。
JFS-Bよりも認証取得に時間がかかりますので、取得の期限がある場合は、認証機関にも確認し、計画的に進めておきましょう。
FSSC 22000 Version 7への対応
2026年5月1日にFSSC 22000 Version 7が発行されました。
2027年5月1日以降の審査にはVersion 7が適用されるため、これから認証取得を目指す企業は、Version 7を前提として準備を進めることが重要です。
6.FSSC 22000の理解を深めるために
2026年11月10日、株式会社SEITA代表の青森誠治が共著者として執筆した書籍『図解即戦力 FSSC22000 食品安全マネジメントシステムの規格と審査がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)が発売予定です。
本書では、ISO 22000、ISO 22002シリーズ、FSSC 22000追加要求事項の解説に加え、認証取得までの進め方や中小食品企業における導入のポイント、不適合になりやすい要求事項などを紹介しています。
これから認証取得を目指す企業の担当者や、既に認証を取得して運用を担当している方にも参考にしていただける内容です。
7.FSSC 22000へのステップアップをお考えの企業様へ
JFS-Bで構築した食品安全管理の仕組みは、FSSC 22000認証取得に向けて十分に活用できます。
また、ISO 9001やISO 14001を取得している企業であれば、既存のマネジメントシステムとの統合によって、構築・運用の負担を軽減できる可能性もあります。
重要なのは、現在の管理体制を正しく評価し、必要な部分を効率的に強化することです。
株式会社SEITAでは、食品安全マネジメントシステムの審査員としての経験を生かし、GAP分析からシステム構築、従業員教育、内部監査、認証審査への準備までサポートしています。
「自社の場合、どの程度の追加対応が必要なのか」「既存の管理体制を活用して認証取得を進めたい」とお考えの企業様は、お気軽にご相談ください。
JFS-BからFSSC 22000へのステップアップは、特に中小規模の企業ではハードルが高いように思われますが、ポイントを押さえ、最適な仕組みを構築することができれば、認証取得やその後の運用も不可能ではありません。
弊社が支援した企業では、JFS-Bで構築した食品安全管理体制を活用し、従業員10名未満という少人数の組織でFSSC 22000認証を取得されました。
認証取得までの取り組みや取得後の成果については、以下の導入事例をご覧ください。
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